2018年4月21日土曜日

ケンモンヤガから出たカモドキバチの1種

3月25日のお散歩で、けったいな幼虫を見かけた。
これ、寄生蜂にヤラレタ蛾の幼虫で中身はハチの繭である。
こういうのはシャクガの幼虫でよく見かけるが、この幼虫は初めて見るので持ち帰る。

4月13日に穴を開けて出てきた。
穴の内側は繭なのでとてもなめらか。

出てきたハチの背面
矢印部に横脈がないのでコマユバチ科Braconidaeである。
ヒメバチだと思っていたので意外。
よく見るコマユバチより大型である。

腹面
なかなかカラフル。針(産卵管)がないので♂。

前伸腹節と腹部1~3節は縮緬状のしわがあり正中腺に縦条あり。

割りと特徴があるのでウロウロとネット上を彷徨ってみると、
どうも カモドキバチ亜科 Rogadinae のコマユバチのようだ。

ヘンな顔。

参考にしたのが以下のサイトの、「Information station of Parasitoid wasps
「カモドキバチ亜科のページ」

この中で Aleiodes 属が似てる感じ。

Aleiodes属は20種、その他29種で約50種の記録があるようだ。

詳しく掘り下げるのは荷が重そうじゃ。。。

昆蟲 65-4(1997,東京昆蟲學會)の
A Taxonomic Review of the Aleiodes dispar-group(Hymenoptera; Braconidae; Rogadinae) from Japan を読むと
dispar-groupは触角に白帯が入るのが特徴らしい。
これらは今別属で Heterogamus属のようだ。

海外には Aleiodes albitibia というのがいるらしい。
学名から察するに脛節が白い種類っぽい。(albi:白,tibia:脛節)
画像の種は後脚脛節が半分白いのでこれかも?なんて思ったり。

さて、、、

寄生された方の幼虫の特徴は、
腹脚は4対(×シャクガ科)
背線はない(×ドクガ科)
頭蓋に二次刺毛がない(×カレハガ科)
尾脚はよく発達する(×シャチホコガ科)
鈎爪は異規的縦帯ではない(×ヒトリガ科)
まあまあ大きい(×小蛾類)
で、スズメガでもヤママユガ科でもないので
まあヤガ科だろう、と。

で体に二次刺毛があり、第1腹節と第7~9腹節の背面正中部に黒色の毛束がある。
ナワシログミの枝にくっついていた。
これで手持ちの図鑑で見ると、アサケンモンが色彩以外は特徴が非常に似ていた。

アサケンモンAcronicta pruinosa を含む Plataplecta亜属は、日本産はアサケンモン、シロハラケンモン、ハイイロケンモン、シロモンケンモンの4種。
このうち食樹が未知のシロモンケンモン以外はグミ科を食べるらしい。
亜属としてグミ科に固有っぽい。

なので寄主は Plataplecta亜属の1種だと思う。
あと分布が本州中部以北のハイイロケンモンは候補から外せるので、残り3種のうちどれか、となる。

この蛾の仲間は年2化なので今年はグミはちょっと気にして見よう。

ではまた

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