2018年3月17日土曜日

チビミズアブの1種の幼虫

少し暖かくなってきたものの記事にする虫はおらず。。。
ちょっと前の記事にしたニセアカシアの朽ち木、
記事はこれ→「樹皮下のヒメチビヒラタエンマムシ」
それを入れたフィルムケースをこの間かたずけた時、の虫。
チビミズアブ亜科 Pachygasterinae
残骸が出てきた。。。
一匹クロツヤバエっぽいのがいるが、他はすべて同一のミズアブ。
昨年羽化していたらしい。すっかり忘れていた。
体色は黒で翅は透明、腹部は短くて丸く、触角は紡錘形で触角刺毛は白い、
などの特徴から Wallacea 属の1種と思われる。
検索表や記載文を見たわけではないので当てずっぽである。
チビミズアブの1種 Wallacea sp. 
上は干からびた幼虫で、下は羽化後の囲蛹殻。
ミズアブを含むいくつかの双翅目は幼虫の殻の中で蛹化するため、
硬くなって中身が蛹になった状態を「囲蛹」と呼ぶ。

キラキラ白く光っているのはワックスだろうか。
干からびた幼虫の方を透過処理してみた。
薄皮を剥がすみたいに一皮むけた。
掃除して背面
チビミズアブの1種 Wallacea sp. 幼虫
矢印は前胸にある気門(前方気門)。

腹面
チビミズアブの1種 Wallacea sp. 幼虫
矢印は肛門。

前方気門

頭部には小さな触角がある

腹面にある肛門

トラバサミみたい。

透過処理して判ったが、背面から見ると1対の後方気門が背板の下に隠れていた。
ニヤリと笑っているような開口部が後方にある。
開閉できる構造にみえる。
ミズアブ科の幼虫は水気の多い所に住んでいるため、
気門の開口部が直接水にさらされないような構造が発達したのだろう。

以前見たことのある小型のミズアブ類の幼虫は、体表に細かい毛がたくさん生えていた。
が、本種の幼虫は細い柳葉状の剛毛が3~4対1列に生えているのみであった。

旧ブログでいくつか紹介してる↓
いずれも毛が多い幼虫だった。


Wallacea属はミズアブ科Stratiomyidaeのチビミズアブ亜科Pachygasterinae

日本昆虫目録第8巻によると既知種は4種。
Wallacea albiesta 本州、四国、九州、屋久島、沖縄
W. edashigei 四国
W. separata 宮古
W. tsudai 九州、奄美
全部和名が無い。分布から行くと Wallacea albiesta  
だが、区別点が判らないので何とも言えない。
ところで albiestaというのは誤植で正しくは Wallacea albiseta 
だとハエの掲示板に書いたあった。
どうも九大の昆虫目録の誤植がそのまま使われてしまったとのことだ。

おまけ
成虫は6月頃から見られる。
以前野外で撮った画像。
チビミズアブの1種 Wallacea sp. 
体長3mmほどのチビ助。でも複眼はきれい。
たぶんWallacea albiseta だと思うが特定は避けておく。

ではまた

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