2017年7月29日土曜日

死んでた毛虫

これと言ったネタがなかったので過去画像から。
海の日(7/17)に見かけた幼虫。
クヌギカレハ Kunugia undans
でろんと伸びて死んでいた。
たかっているのはミカドオオアリあたりかな。
ウイルス感染した死骸と思われる。

私のお散歩コース限定の話であるが、
ちょっと気になっているのはここ数年いもむし毛虫が少ない事。
今年はとうとうマイマイガを見なかった。

過去の記録を見ると、2013年にそれまで大発生していたマイマイガが
マイマイガ核多角体病ウイルスにより壊滅的に減少した。
過去記事→「シラフクチバ」とか「エダヒゲナガハナノミの♀・・・・のはず」
に病気のマイマイガ幼虫の画像を載せている。

突然マイマイガがいなくなったため、
それまでマイマイガに寄生していたヤドリバエとか寄生蜂類が
他種のいもむし毛虫に手当たり次第に寄生して少ないのかな?

とか思っていたけど、

ひょっとしてウイルスも関係してたりするのだろうか?

このウイルスは寄主特異性が高く、1種類か近縁の数種にしか
感染しないと言われているけれど。。。

もう4年もたったのでそろそろ回復してくれないもんか。
うむむ

ではまた

2017年7月22日土曜日

マエジロアシナガヤセバエの近縁種 Rainieria sp.

日曜日のお散歩で見かけたシュッとしたハエ。
マエジロアシナガヤセバエの近縁種 Rainieria sp.
前脚をフリフリしながら歩き回る。
白い付節が良く目立つ。

マルズヤセバエ科 Micropezidae に属する。

ネットを検索すると、昆虫写真ブログではおなじみの
「明石・神戸の虫 ときどきプランクトン」に、
「マルズヤセバエ科の一種(Rainieria sp.)(改題)」という記事があり、
コメント欄で詳しい解説があった。

マエジロアシナガヤセバエの現在の学名はRainieria hennigi (北隆館の図鑑ではR. latifrons) で、中後脚の腿節の縞の数が少なく、中後脚付節は白くない様で、
ここらで見かける、中後脚の縞が多くて付節の白い種は別種の可能性が高いそうである。

マルズヤセバエ科 Micropezidae の翅脈
顔の拡大
マエジロアシナガヤセバエの近縁種 Rainieria sp.
おでこに紡錘形で無光沢の額帯がある。


腹部側面(♂でした)
マエジロアシナガヤセバエの近縁種 Rainieria sp.
腹部を斜め下から
マエジロアシナガヤセバエの近縁種 Rainieria sp.
不思議なさすまた状の突起は接合鉗子と言うらしい。

腹部先端
マエジロアシナガヤセバエの近縁種 Rainieria sp.
先端は二つ折りになっている。
♀の腹端を接合鉗子で固定して挿入する仕組み?

北隆館の図鑑の検索表から、
マルズヤセバエ科 Micropezidae の特徴を抜き書き。
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額嚢溝と半月瘤を持つ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・環縫短角類の額嚢類

体は著しく扁平ではない、
左右の中・後基節基部は腹部の腹面の腹中線部で接近する;
爪は著しく彎曲せず、歯を生じない;
成虫は外部寄生者ではない

翅下瘤が発達しないか、発達する場合は鬚剛毛を欠く;
触角梗節の背面には通常は縫線を欠く;
通常は基覆弁の発達が悪いかこれを欠く;
翅のSc脈はR1脈の関係は多様・・・・・・・・・・・・・・・・・・無弁翅類Acalyptratae

口吻は通常太く短く、頭長より短い(Milichiidaeの一部では頭長より長いが、口吻は中途で関節があり屈曲する);
触角梗節は通常第3節(第1鞭小節)より短いが、一部でより長い場合はsc-r横脈を欠き、cua室は第2基室より長くはない

単眼を持つ

複眼は眼柄から生じない;
触角基部は広く離れない

触角刺毛はよく発達する

後付節の第1付小節は球形に肥大せず、第2付小節より長い

翅のSc脈は先端近くがほぼ直角に屈曲しない

翅のSc脈は完全で全長を通じてR1脈とは独立して前縁に達する

体肢共に著しく細長い;
R4+5脈とM1脈は先端に向かって接近し、しばしばそこで融合する

触角刺毛は第3節の背面中央よりも基方の位置から生じる;
前脚は後脚に比べて著しく短い
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額嚢溝は下写真の黄色線のところ。

羽化時にここが開いて額嚢と言う袋を風船状に膨らましたり縮めたりする。
それで囲蛹を破ったり、地表に出て来たりするそうな。


ではまた

2017年7月15日土曜日

サツマモンナガレアブかな

今週はブログネタ的には特に収穫がなかったのでその前の週から。

尾根筋で休憩していたら体の周囲を飛んで廻っていたアブ。
反射的にお散歩ネットにネットイン。
サツマモンナガレアブ Suragina satsumana
と思われる。

腹面

水際の昆虫と思うがなぜ尾根筋にいたのかは不明。
たまたまかも?

本種はナガレアブ科(ナガレシギアブ科) Athericidae に属する。

ナガレアブ科の特徴を検索表の短角亜目以降から抜き書き。
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額嚢溝と半月瘤を欠く(直縫短角類および環縫短角類の無額嚢類)

付節先端の爪間板(empodium)は1対の側爪板(褥板;pulvillus)と同形で、
3板は平板状

頭部の幅は胸部幅の1/2より広い
基覆弁(lower calpter)は小型、頭部幅より小さい;
♂が合眼的でも♀は常に離眼的

脈相は正常、R脈やM脈の分枝は翅の外縁に向かって走り、
M脈の分枝の先端は翅端より後の外縁に終わる

翅の前縁脈は後縁に沿って連続的に延びるが、後縁では通常は翅の前縁よりかなり弱い

下小盾板が強く発達する

鞭節は細長く関節構造を欠く触角刺毛を生じる;
翅のR2+3脈端は前縁のほぼ1点でR1脈と合うためにr1室は閉ざされる
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適当に画像ぺたぺた


生時の複眼は不思議な模様付き。
模様に横棒がもう一本あったら「目」になるのに。
矢印の触角第3節が下方に伸長するのも本科の特徴みたい。

上から見た顔
複眼の上方は紫~藍色のグラデーション。

胸部を後方から
矢印部が下小盾板。
近縁のシギアブ科、キアブ科、クサアブ科の下小盾板は無いか、発達が悪いそうだ。

後脚付節先端
爪と褥盤は判るけど詳しい構造ははっきり見えなかった。

前翅拡大
サツマモンナガレアブ Suragina satsumana
紋があって翅脈が判りづらいですが、英字が翅脈略号、小文字は横脈
画像クリックしたら少し拡大画像になるのでまだ見やすいかも。

R2+3脈が前方に湾曲し、R1脈の終点に近づくのが本科の特徴。
そうならないのはアブ科かタマユラアブ科になるそう。

ではまた。


2017年7月8日土曜日

ウサ耳ケムシ・・・コウスベリケンモンの幼虫

日曜日にササに隠れるようにしていた毛虫。

拉致しようかな?と思ったけど、ササは水揚げが悪くて
飼育が面倒なので写真だけにした。
「ひむか昆虫記」で見た記憶があるが、イネ科の葉で飼育する場合は
葉の両端を切って水に浸した綿で挟むと良い。と読んだ記憶がある。

前から
コウスベリケンモン Anacronicta caliginea
体毛は全体淡褐色だが、第1腹節の気門上隆起には黒色毛の束がある。
ウサ耳ケムシである。

図鑑を見るとコウスベリケンモンだった。
いもむしがデフォルトのヤガ科の中では珍しく2次刺毛がたくさん生えている。
頭部にも2次刺毛がたくさん。

頭部が飛び出しているので脱皮前の状態。
終齢幼虫ではないということである。
30mmくらいあったと思うので亜終齢くらいだろう。

背面
コウスベリケンモン Anacronicta caliginea
背線は鉛色。終齢幼虫の背線は大きな黒斑を連ねるそうだ。

図鑑に書いてある食草はススキとあるが、ここはササ(ネザサと思う)しか
生えてないところなのでこれを食べてたのだと思う。同じイネ科だし。。

同属のウスベリケンモンはササ類を食べると図鑑にあったので、
あるいはこちらかと思ったが、「日本の鱗翅類(東海大学出版部、2011)」に
掲載されている幼虫画像を見ると、ウスベリケンモンにはウサ耳はなかった。

ではまた

2017年7月1日土曜日

クロスジキヒロズコガ

日曜日は雨で傘を差し差し散歩してきた。
そろそろ見られるササキリの幼虫も見られず。。。
持って帰ったのは1匹だけ。

クロスジキヒロズコガ Tineovertex melanochryseus
低山地に多い普通種。
幼虫は枯れ葉喰いだが、産卵はシシガシラの葉に産卵管を突き刺して産み付けるそうな。

展翅した状態。
クロスジキヒロズコガ Tineovertex melanochryseus


ヒロズコガ科の特徴の一つは下唇鬚(かしんしゅ)に剛毛が生えていること。



ヒロズコガ科は小蛾類の中でも祖先的で、発達した小腮鬚を持つ。

おまけ
翅の拡大。
1ミリ四方に鱗粉は何枚あるでしょう?
(私は数えてません。)

ではまた