2016年11月26日土曜日

子供の生活範囲はフジの小葉半分・・・フジツヤホソガ

日曜日、お散歩中に見かけた実生の小さなフジ。
寒くなってだいぶくたびれている。
茶色くなった部分の中心に不自然な丸い模様。

透かして見ると、、、、
フジツヤホソガ Hyloconis wisteriae の幼虫

いくつかあるので他のも透かして見るとこちらは、
フジツヤホソガ Hyloconis wisteriae 
こちらは蛹になっているようだ。

つまり、この丸い円盤は本種の繭である。

持ち帰って裏面から見ると、
繭の部分は糸を貼りめぐらせて補強しているのが判る。

本種は葉っぱに潜る、いわゆる「絵描き虫」、「字書き虫」の仲間。
この生活スタイルは蛾だけでなく、ハチや甲虫、ハエの中にも見られる。
いずれもサイズが小さく、少しの量で親になれるのでエコ?な虫たちである。



図鑑によると、同属に以下の3種がいる。
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ハギツヤホソガ Hyloconis lespedezae
食草は同じマメ科だけどマルバハギにつくとのこと。

ヌスビトハギツヤホソガ Hyloconis desmodii
こちらの食草はヌスビトハギ。やっぱりマメ科。

クズツヤホソガ Hyloconis puerariae
本種はクズ、ヤブマメにつく。
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この属はマメ科に固執してるみたい。
生態はほぼ同じで潜葉の中央付近に円盤状の繭を作る。
成虫は似通っているが、付いていた植物とこの繭の特徴があれば自動的に種類が判る。
図鑑には細かく成虫の特徴がそれぞれ書いてあるが、
クズツヤホソガ以外の触角は先端に白色部があり、
クズツヤホソガの触角は一様に黒褐色とのこと。

ほんとは羽化した成虫を待って記事にしようと思ったけど、
ネタがないのでとりあえず。。。

ではまた
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2017年4月8日 追記
羽化したので画像上げました。
記事はコチラ→「フジツヤホソガの成虫
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2016年11月19日土曜日

ヤマトハナゲバエ?

先日見かけたイエバエ科の1種。
橙色みがかっている。
採集したので以下死体の画像。
背面

胸部背面

胸部側面

小楯板側面
側面から下は毛があるかないか、、微妙

翅脈

第5腹板と交尾器
♂でした

引き出した状態の交尾器側面

「日本のイエバエ科」とか、一寸のハエにも 五分の大和魂・改の過去ログなどを
つらつら読んで、部分的な色彩や形態に疑問があるが、

ヤマトハナゲバエ Dichaetomyia japonica

あたりに落ち着いた、けどまったく自信がない。

おまけ
ヤマトハナゲバエ?の顔

どの辺が鼻毛?

ではまた

2016年11月12日土曜日

オオムクゲカメムシの1種

ムシ的に寂しい季節になってきました。
ということでまた腐葉土を篩って持ち帰り。

で、その中から出てきた虫。
オオムクゲカメムシ科の1種 Ceratocombidae gen. sp.

オオがつくけど、体長(翅端まで)は2mmないくらい。
別にムクゲカメムシ科Dipsocoridae というのがあり、前翅楔状部の切れ込みが長く前翅の幅の中央近くに達することで区別できるとのこと。

オオムクゲカメムシ科の前翅楔状部(中央の矢印部)
切れ込みは短い。
複眼に接して単眼がある(左の矢印部)

参考にムクゲカメムシ科の前翅楔状部はこんな↓
ムクゲカメムシ科Dipsocoridae の1種
これはご近所ではなく豊岡市で採ったもの。
なんかこちらの方が大きい。。。


あと、近縁の科にノミカメムシ科Schizopteridae があり、本科の頭部は下を向くため上から中葉の先が見えないとのこと。オオムクゲカメムシ科の頭部は前方を向くのが特徴。
ノミカメムシ科の1種
これもご近所でなく備前市で採ったもの。
頭部は無理やり起こした。
この虫は以前オオムクゲカメムシ科と思って
ツイッターに貼ったら鶉氏に間違いを指摘されたもの。

分類のネタ元は環境アセスメント動物調査手法20(日本環境動物昆虫学会)の
「日本産カメムシ類の絵解き検索」


これらの触角は4節で基部1・2節は短く、3・4節は長い立毛で覆われる。
この触角の特徴は上記の3科を含むムクゲカメムシ下目の特徴だそうだ。

日本原色カメムシ図鑑3巻にはムクゲカメムシ類は載っておらず
検索表でもムクゲカメムシ下目まででその先の検索は割愛されている。
4巻が出たら載せられるのかな?

おまけ
オオムクゲカメムシ科の1種の腹面
腹板の硬化部が分割してるように見える。
へんなの

ではまた

2016年11月5日土曜日

ハナホソバエ科の1種

今日は初めて見る科のハエ、
というか以前から見てはいたけど調べたらそうだった話。
見た目はスマートなショウジョウバエといった出で立ち。
ハナホソバエ科の1種 Anthomyzidae gen. sp.

全翅長前翅長は2mm強。
近所の山に植えてあるバナナから垂れた枯葉を叩くとよく落ちてくる。

ハナホソバエ科は以前の図鑑には載っていない。
新訂原色昆虫大図鑑3巻の双翅目の検索表に出てくるだけで
図は載っていない。
まあ、小さなハエのことなのでよくあることである。

自信がないので「一寸のハエにも五分の大和魂・改」というハエ類の質問掲示板で
お伺いを立てたところ、ハナホソバエ科なのは間違いないようだ。
ただ、研究中で種までの同定はまだできないそうである。

新訂原色昆虫大図鑑3巻にある双翅目の検索から
ハナホソバエ科に関連する記述を以下に一部抜粋。

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翅下瘤(greater ampulla)や基覆弁が発達しない。(無弁翅類Acalyptratae

口吻は細長くならず通常

単眼があり、複眼は通常。

触角刺毛は発達する

後脚第1付節は球形に肥大しない

前翅のSc脈は不完全で前縁脈(C)に達しない

内傾する額眼縁剛毛を欠く

第2基室と中室の後縁脈はキモグリバエ科のように湾曲しない

顔面下部に鼻上の突出部を欠く

CuA脈は顕著、第2基室は通常中室から区分される

前翅のM3+4脈は中室から翅縁にかけてかなり伸長する

髭剛毛がある

全脛節は背面に亜末端剛毛を欠く

♂の上雄板は樋状に伸長しない、♀の第7腹節の背板と腹板は融合して円錐状の偽産卵管を形成しない

後単眼剛毛は収斂的か平行、または不明瞭

上前側板にほとんど剛毛を欠く
前翅の臀域やしばしば小翅片が退化する

中室末端は第1基室末端をはるかに超え、前翅のほぼ中間に達する。
Cu融合脈(CuA+CuP)は短くその先端はR1脈先端を超えない。
前縁脈(C)はM1脈先端に達する
前縁脈先端に長い縁毛を生じない
額眼縁剛毛は2~3本
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などなど。
上記に関する画像は以下。
横顔から見た毛など

中脚と後脚、亜末端剛毛は無い。中脚に距が1本

透過処理して
後単眼剛毛は円内の短いの。収斂している

ハナホソバエ科の1種の翅脈

判りにくい時は画像をクリックして拡大して見てね。
ではまた