2024年3月16日土曜日

キアシハラグロハネカクシ?

ちょっと春めいてきたかなぁ?
と思ったけど、、
虫的にはまだだった日曜日。

目の高さにあるネズミモチの葉っぱが重なっているのを捲ったらいた虫らしきもの。
老眼鏡越しでみると5mmほどの小さなゴミみたいなのをルーペで見たら、おしりを反らしてしゃちほこばってるハネカクシだった。

ハネカクシはな~
ワシには判らんからな~
と思ったけどネタにするべく拉致。

背面
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons
なんか既視感があるのでブログの記事を確認。

旧ブログで似たのを記事にしていた↓

insectmoth.hatenablog.com

で、図鑑で近いところを探すと隣の属に似たのがいた。
アバタコバネハネカクシ属Nazeris じゃなくて、シリグロハネカクシ属Astenus の一種のようだ。
手持ちの図鑑で一致するのはAstenus latifrons だけれど、同属他種がいるから「?」をつけておく。

あとこれ、和名に変遷があるようで
同じ学名に、
保育社図鑑の和名は「キアシシリグロハネカクシ」、
北隆館図鑑の和名は「キアシクロクビボソハネカクシ」、
九大のサイトで公開されている日本産ハネカクシ科総目録では
「キアシハラグロハネカクシ(和名改称)」の和名が当ててある。

ここではいちおう最新のキアシハラグロハネカクシとしておく。
?付きだけど。

その他の画像。

腹面
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons

頭部胸部背面拡大
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons

よく見ると点刻が網目状。
カッコいい?

アバタコバネハネカクシみたいに撫で肩じゃないので、後翅はあるかと思ったけど、柄付き針で弄った感じだと鞘翅は左右癒着しているようだし、のぞき込んだ感じでは後翅も見えなかったので、本種も飛べない種類のようである。

腹面先端節の切れ込み
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons

幸いなことに♂だったので交尾器も

側面

交尾器背面

記載文でも拾えたら交尾器が役に立つのだけどね。
私では見つけられなかった。。

おまけ
大顎開くとこんな感じ。
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons
カッコいい。
上唇に一対の長い毛が生えているのは
ハエトリソウみたいなセンサーの役目かな。
大顎拡げておいて、毛に触れるとパチンと噛みつくとか。

アリにもそんなのがいたね。
アギトアリとか。


ではまた。

2024年3月9日土曜日

住み込み寄生とガチ寄生

先週の記事に出したクヌギエダイガタマフシの続き。

空き家に間借りしているアリンコより実害のありそうな虫。
虫コブを割ってみると、矢印の本体の繭とは別に周縁部に小さないもむしが見られた(黄色円内)。

チビいもむしの拡大
頭部の透過光観察
脚は無いが露出した頭部があり、大顎があるから双翅目ではない。
大顎以外の触角や下唇鬚は確認できないので鞘翅目ではない。
消去法で膜翅目の幼虫であろう。

で、ネットをあさると
「TAMABACHI JOHO-KAN」というサイトに、タマバチの中には「住み込み寄生」する種類がいるとある。
要は他のタマバチが作った虫コブに後から産卵して育つ種類がいるそうである。
こういう生活様式のタマバチはほとんど「イソウロウタマバチ族Synergini」に属する種類だそうで、画像のチビいもむしはたぶんこれ。

上記サイトによると、イソウロウタマバチは寄主のタマバチと置き換わってしまう種類が多いそうである。それと比べるとこのイソウロウタマバチは余っている端っこを食べているだけなので、つつましい種類だと思う。

成虫とおぼしきものは、ハンマーさんが昔撮影されている。↓
これによると、8月に産卵していることから慌てて成虫になる必要はなく、クヌギエダイガタマフシができた頃に出てくればいい訳で、のんびりしたものである。

ずるい生き方ではあるがクヌギエダイガタマバチと一蓮托生な訳で、危うい生き方でもある。

おまけ
ほとんどのクヌギエダイガタマバチの繭は羽化した後だったが一部蓋が開いてない繭があったので暴いてみた。
もう冬芽に産卵しなくてはならないのに今幼虫だったら間に合わない。
ということは、寄生蜂のヒメバチ科あたりじゃないかと思っている。

ではまた。

2024年3月2日土曜日

空き家で冬ごもり

ずいぶん前から視界には入っていたもの。

クヌギエダイガタマバチの虫コブである。

本種は秋から早春にかけて羽化するそうで、既に脱出口が見られるので空き家であろう。

このとき羽化するのは単性世代の♀で冬芽に産卵し、雄花にクヌギハナコツヤタマフシという虫コブを作って両性世代の成虫が羽化するそうな。

それはさておき空き家だし、何かの話のタネになるかと持ち帰って中を見た。

割ってみると羽化後のタマバチの繭がある。

次、

なんかいた。

背面

ヒラフシアリ 女王
Technomyrmex gibbosus
翅がついていた痕跡があるので女王アリである。

側面

ヒラフシアリ 女王
Technomyrmex gibbosus
体長は約3.5mm。

腹柄は細く、腹部が覆い被さっている。

本種は枯れ枝や枯れ竹に営巣する樹上性の種類だそう。

秋に結婚飛行をする種類なので、各々単独で冬越しして春になってから子育てに入るのかも知れない。

かなり以前にツバキシギゾウムシが出て行ったあとのヤブツバキの実にシリアゲアリ属の女王がいたことがある。ハリブトかテラニシ辺りだったと思うが、これも同じように春になってから繁殖に入るのかも知れない。


ではまた

2024年2月24日土曜日

進捗ダメでした、、、ヤドリバエの一種

昨年の記事で紹介した、蛹までこぎつけたアヤトガリバの一種。

「アヤトガリバの一種、幼虫と蛹」

2月に入ってチラッと容器を覗いたら、俵が増えていた。

残念ながらヤドリバエに寄生されていた。

ということで、アヤトガリバかオオアヤトガリバかどうかは迷宮入りとなってしまった。

ヤドリバエはその後無事羽化。

特にうれしくない。

蛾屋なので。

いちおう背面の拡大

ヤドリバエの一種Tachinidae Gen.sp.
きな粉をまぶしたような背中。

綺麗と言えなくもないが、詳細を調べるスキルはないので科止まりである。

側面

ヤドリバエの一種Tachinidae Gen.sp.
腹端


腹端を斜め下から。


顔①

ヤドリバエの一種Tachinidae Gen.sp.
顔面はまっしろ。


顔②


おまけ。

アヤトガリバの一種の蛹。尾突起の鉤状刺毛(尾鉤)


ではまた

2024年2月17日土曜日

ハモグリバエ科の一種

今週は絞りきれなかったハエを貼っておしまい。

日曜日にポツポツ見かけたハエ。

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.
翅を重ねずに拡げて止まっている。

真っ黒だし小さいしで食指が動かなかったんだけど、他にテキトーなのが見つからないのでチト調べてみようかな、と拉致する。

背面

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.
体長3mm弱。

検索してハモグリバエ科には行き着いたけど(新訂 原色昆虫大圖鑑III巻で検索したら迷子になったのは秘密)、街中でも見かけるナモグリバエとか農業害虫のマメハモグリバエは翅を重ねて止まるので、止まり方の違うこれは以前はハモグリバエじゃない何かだと思っていた。

側面

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.

前翅

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.

刺毛はがっしりしていてsetaというよりbristleといった感じ(個人の感想です)。

眼縁刺毛はすべて後方。

後単眼刺毛は外反する。etc. etc.

日本語の属までの検索とかあったらガンバッテ調べようかと思ったが、英語で書かれたアメリカ産の属検索しか見つけられなかったのであきらめた。

年をとると、やる気根気元気がなくなるのじゃ。

顔つきとか見てると、Japanagromyza属かなぁ?とか思ったりしたが、日本産の情報が拾えなくて何ともならんかった。

というかハモグリバエ科種類大杉。


複数採ったうちオスが1個体いたので交尾器貼っておきます。

側面

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.

腹面

ハモグリバエ科の一種
Agromyzidae Gen.sp.


ではまた

2024年2月10日土曜日

シリボソハナレメイエバエ属の♀

今週は貼るだけ。

考察もなし。

メスなので。

日曜日に葉上でボ~ッとしていたハエをフィルムケースに確保。

冬は網いらずで楽ちんである。

背面

シリボソハナレメイエバエ属Pygophoraだと思う。

うちの近所ではリュウキュウシリボソハナレメイエバエにそっくりだけど翅の斑紋がない種類しか見ていないのでそのメスじゃないかと思っている。

オスについてはむか~しハエの掲示板で問い合わせてみたことがあるが、交尾器に微妙な差異があるそうで、リュウキュウ~と酷似しているが同種とは言い難い、と教えていただいたので、宙ぶらりんのままである。

側面

シリボソハナレメイエバエ属の一種
Pygophora sp.

腹部背面

シリボソハナレメイエバエ属の一種
Pygophora sp.
光の当て方で斑紋が現れる。

腹部腹面


シリボソハナレメイエバエ属の一種
Pygophora sp.

シリボソハナレメイエバエ属の一種
Pygophora sp.
シリボソハナレメイエバエ属は複眼が緑だったり赤くなったりして綺麗なので好きである。

標本にするとどれもこれも小豆色になるのが玉に瑕。。

斜め顔

シリボソハナレメイエバエ属の一種
Pygophora sp.

本種のオスについては「一寸のハエにも五分の大和魂・改」と言う掲示板でリュウキュウシリボソハナレメイエバエでワード検索すればスレッドが見れると思う。

ではまた

2024年2月3日土曜日

図鑑には生葉につくとあるけれど、、、スカシコケガ

1月下旬、
湿った日当たりのよい谷筋に生えていたアラカシ。
えらく汚れた感じの葉上に毛虫発見。
汚れている様に見えるのは地衣類が着生しているからみたい。

常緑の葉の上に生える地衣類を「生葉上地衣」と呼び、種によっては常に生葉上に生える「絶対的生葉上性」の種と、通常は樹皮着生するが日和見的に生葉上にも生える「条件的生葉上性」の種があるそうだ。
画像の地衣がどちらかは私には判らない。

幼虫拡大
スカシコケガNudaria ranruna
第1腹節の気門上部に黒斑があるほかはこれと言って模様のない毛虫。

この子、旧ブログで羽化確認したヤツだと思う。↓

insectmoth.hatenablog.com

このとき見つけた幼虫は成熟しており、何を食べるか確認できないまま蛹化してしまったので食性は判らず仕舞い。

本種を含むコケガ亜科は名前の通り知られている食草は、ほとんどが地衣類、苔類などのいわゆる「コケ」を食べ、他には枯れ葉など、あとまれに生葉を食す、とある。
スカシコケガでは日本産蛾類標準図鑑によると、アラカシ、ミミズバイ、ヒサカキ、サカキの生葉とある。
コケガ亜科の中では異質な記述である。

今回も食痕のあるアラカシの生葉上にいた。
いたんだけど、食痕は古いし、地衣も生えている。

前回のリベンジではないけれど、地衣付きの葉と幼虫を持ち帰って飼育してみた。

結果のビフォー→アフター
スカシコケガNudaria ranruna
食前→食後
葉っぱは別のものだが、右側も左のと同様に地衣類が生えていたものである。
それが何も生えていなかったようにツルピカである。
生葉自体には全く手をつけていない。

やっぱり本種もコケガ亜科らしく地衣類を食べる種類のようである。

ひょっとして生葉を食べるという図鑑の観察事例の中に生葉上地衣類を食べていたものを誤認した例があるのではないかと思ったり。。
それとも大元をたどると生葉じゃなく生葉上地衣で、図鑑の誤植だったり?

おまけ
今回の幼虫も翌週には自分の毛を使って垣根付きの繭を作って蛹化した。
白バック
スカシコケガNudaria ranruna

糸が見えないので黒バック
スカシコケガNudaria ranruna
糸は最小限といった感じ。
蛹化時の幼虫の脱皮殻は糸の隙間から外に捨てるみたい。

ではまた