2018年5月26日土曜日

ウスギヌカギバの羽化と蛹の鉤状刺毛

しばらく前の投稿で紹介したウスギヌカギバ

その後、無事終齢幼虫になりまして、、、
ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata終齢幼虫
体長は35mmほど。上は背面、下は側面。
ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata終齢幼虫
カギバガ科は尾脚が退化傾向にある種が多く、本種では完全に退化している。
この後、葉っぱを綴って繭を作り、、、
・・・
今週羽化しました。
ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata
ちらほらと銀色に光ってる。
無事確認できてよかった。
飼育はやはり寄生の可能性が低い弱齢幼虫からに限りますな。

羽化後の蛹殻
蛹のおしりの先っちょには第10腹節の尾毛が変化した鉤状刺毛がある。
蛹を繭に固定するためである。
羽化時に蛹殻がくっついてきたら大変だしね。

蛹の腹端部背面 鉤状刺毛

同側面

腹面
第9腹節に交尾器開口部があるので♂である。
♀の場合は第9腹節の交尾器開口部が第8腹節に割り込むような状態で存在する。

蛾の蛹の場合はこれで雌雄の区別が可能である。


おまけ
以前どこかの掲示板に貼った蛹の模式図を再掲しておきます。
モデルはクロメンガタスズメ

ではまた

2018年5月19日土曜日

シモヤマジガバチモドキ

日曜日は雨でさっぱりだったので、ちょっと前に採った虫を貼るだけ。

5月6日にお散歩ネットに入ったちいさいハチ。
日本産有剣ハチ類図鑑(2016、東海大学出版部)で同定。
シモヤマジガバチモドキ Trypoxylon shimoyamai
体長は約8㎜。

図鑑から本種の特徴を抜き書き
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頭盾前縁中央は2歯状に突出する
腹部第1節は棍棒状
腹部は黒褐色
♀前脚基節転節は黒色、腿節は黒褐色、脛節は褐色、付節は黄褐色。
中脚、後脚は黒褐色から黒色。
オニグモ科、コガネグモ科のクモを狩る。
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前伸腹節あたりの拡大

胸部側面
中胸側板の中央がへこんで穴が開いたように見える。
左右同じようにあるのでそういうものなのだろう。
図鑑には書いてなかったけども。

顔面
複眼はえぐれてる。
口の周囲は白毛で覆われ、光の加減で銀色に光る。
ギングチバチの由来はここらへん?

頭盾前縁拡大
2歯状に突出してる。

分類学的位置
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ミツバチ上科 Apoidea 
キングチバチ科 Crabronidae
ギングチバチ亜科 Crabroninae
ジガバチモドキ族 Trypoxylonini
ジガバチモドキ属 Trypoxylon
シモヤマジガバチモドキ Trypoxylon shimoyamai
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おまけ
産卵管(針)を引き出してみた。
わりと短い。

ではまた

2018年5月12日土曜日

キンバエみたいなヤドリバエ

お天気下り坂のゴールデンウイーク最終日、
ハルジオンに止まるキンバエみたいなハエがいた。
顔つきがキンバエっぽくないので採集。
触角刺毛が羽毛状でないし、腹部に剛毛が多い。

拡大してみると、後小楯板が膨らんでいる。
ヤドリバエ科の特徴である。
ヤドリバエ科に金属光沢の種類がいるとは知らなかった。
ちょっと調べると日本産には少なくとも3種類はいるようだ。

クチナガルリハリバエ Chrysosomopsis auratus
ルリアシナガハリバエ Janthinomyia elegans (日本昆虫目録には和名なし)
ルリハリバエ Gymnochaeta viridis

このうちルリハリバエは「昆虫III(学研,1983)」によると、肩剛毛が三角形に配列する、とあるが画像の種はなんだか5本ほど生えているので除外。
あとハナアブの世界にある「みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページ」を見ると
クチナガルリハリバエに似ている。
学名で検索すると、色合いが黄緑から藍色のグラデーションなところとか、
後頭部に黄色の長毛が密生するところなどもクチナガルリハリバエに一致する。
なのでクチナガルリハリバエとしておきます。

背面
クチナガルリハリバエ Chrysosomopsis auratus

クチナガルリハリバエ Chrysosomopsis auratus
♂だったので交尾器付近の画像を貼っておく。
腹端部側面
腹端部斜め下から

同定間違ってたら教えてね。

ではまた

2018年5月5日土曜日

ウスギヌカギバの幼虫

このところマイマイガ大発生の終焉から年々いもむし毛虫が減っていたのが
今年は去年より多く見かけるのでやっと回復に向かうのだろうか。
もちろん種類によって増減の差はあるが全体としてそんな印象。
フユシャク類やキリガ系はまだまだ少ない感じ。

このゴールデンウイークには私的初見の幼虫に出会った。
シロトゲエダシャクの幼虫の付いた枝を手繰り寄せて見たとき脇にいたもの。
ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata
体長はまだ7mm。4月29日。
いろいろ突起があったり毛もあるが刺さない種類。

持ち帰って2日後、脱皮前の眠に入る。
ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata
前胸部分に次の頭が入っているのでパンパンである。

で、今日5月5日
ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata
体長は18mm(尾突起の先端まで)
カギバガ亜科の特徴としては尾脚が退化していることなどがある。

ネタがない時にその後の成長経過を貼るかも。

ではまた

2018年4月28日土曜日

クリハムグリハバチ

日曜日、コナラの葉っぱに飛んできた小虫。
クリハムグリハバチ Profenusa castaneivora
うろうろ~うろうろ~しながら主脈付近に行くと
廻れ右して腹端を押し付ける仕草をしていた。
たぶん産卵。風でユラユラしてる中撮ったのでピンボケである。
とても小さいハバチだった。
採集して調べたらクリハムグリハバチのようだ。

蛾やハエの場合はハモグリだけど、ハバチの和名はハムグリである。
意味は一緒だけどなぜなのか?
それはさておき背面
クリハムグリハバチ Profenusa castaneivora
腹面
脚が黄色以外はほぼ黒一色。
体長は約3.5mm。ちいさい。

産卵管

ハバチ科からハムグリハバチ亜科Heterarthrinae を区別する特徴
(環境アセスメント動物調査手法16のハバチ・キバチの検索を参照した。)
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基脈と肘脈は亜前縁脈上のほぼ1点で接する
径横脈を持つ
第1・2反上脈は別の肘室につながる
触角は9節
基脈は第1反上脈と平行にならず、縁紋方向に狭まる。
肛室は翅縁方向に1室のみ(例外あり)
肛室基部の脈は先端が2分しない
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以前紹介したナメクジハバチCaliroaなどは肛室が2室ある。

前翅拡大
いろんな図鑑等の解説を見ると外縁部では中脈となっているのに付け根の方は肘脈とある、、、
中脈の上は中室になるはずが肘室とされている。。。
基脈とか反上脈はハチ類だけに使われる用語である。
ネットで拾った国外の文献ではこんな感じ↓
合流したり分かれたりわやくちゃである。
人によって見解が分かれてたりするのだろうか?
素直に絵解き検索を参照しながら進む。。

Profenusa属の特徴
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肛室は翅縁方向に1室のみ
中胸側板の前側片は溝で区別されない
触角第2節は細長い
爪には明瞭な基片がある
前翅肛室基部の脈は直線状
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中胸側板の写真はうまく撮れなかったので割愛。。

触角拡大
爪の拡大

前翅基部拡大
肛室基部の脈は3A脈になるのかな?

Profenusa属まで行き着いたところでネットを検索して以下の文献を見つける。

The Japanese Sawflies of the Genus Profenusa (Hymenoptera, Tenthredinidae),with Description of Three New Species

英文なので斜め読みしながら
クリハムグリハバチは、顔面に4条の白斑があるのが特徴らしい。
産卵管のギザギザの形状も一致するし、同種とみていいと思う。
論文にはクリにつくとあるがコナラにもつくみたい。

顔面の拡大
クリハムグリハバチ Profenusa castaneivora
産卵管の顕微鏡画像
4枚が上下左右に組み合わさって構成されてる。
左右を前後に動かしながら葉っぱを切り裂いて葉肉部分に卵を産み付けるのだろう。

ところで産卵管のことをハバチの場合は「Lancet」と書くらしい。
針じゃなくて手術用のメスみたいだしね。ナルホド

おまけ
たぶんだけど本種幼虫の潜葉痕と思われるもの。
2005年5月29日に写真だけ撮っていた。

ではまた

2018年4月21日土曜日

ケンモンヤガから出たカモドキバチの1種

3月25日のお散歩で、けったいな幼虫を見かけた。
これ、寄生蜂にヤラレタ蛾の幼虫で中身はハチの繭である。
こういうのはシャクガの幼虫でよく見かけるが、この幼虫は初めて見るので持ち帰る。

4月13日に穴を開けて出てきた。
穴の内側は繭なのでとてもなめらか。

出てきたハチの背面
矢印部に横脈がないのでコマユバチ科Braconidaeである。
ヒメバチだと思っていたので意外。
よく見るコマユバチより大型である。

腹面
なかなかカラフル。針(産卵管)がないので♂。

前伸腹節と腹部1~3節は縮緬状のしわがあり正中腺に縦条あり。

割りと特徴があるのでウロウロとネット上を彷徨ってみると、
どうも カモドキバチ亜科 Rogadinae のコマユバチのようだ。

ヘンな顔。

参考にしたのが以下のサイトの、「Information station of Parasitoid wasps
「カモドキバチ亜科のページ」

この中で Aleiodes 属が似てる感じ。

Aleiodes属は20種、その他29種で約50種の記録があるようだ。

詳しく掘り下げるのは荷が重そうじゃ。。。

昆蟲 65-4(1997,東京昆蟲學會)の
A Taxonomic Review of the Aleiodes dispar-group(Hymenoptera; Braconidae; Rogadinae) from Japan を読むと
dispar-groupは触角に白帯が入るのが特徴らしい。
これらは今別属で Heterogamus属のようだ。

海外には Aleiodes albitibia というのがいるらしい。
学名から察するに脛節が白い種類っぽい。(albi:白,tibia:脛節)
画像の種は後脚脛節が半分白いのでこれかも?なんて思ったり。

さて、、、

寄生された方の幼虫の特徴は、
腹脚は4対(×シャクガ科)
背線はない(×ドクガ科)
頭蓋に二次刺毛がない(×カレハガ科)
尾脚はよく発達する(×シャチホコガ科)
鈎爪は異規的縦帯ではない(×ヒトリガ科)
まあまあ大きい(×小蛾類)
で、スズメガでもヤママユガ科でもないので
まあヤガ科だろう、と。

で体に二次刺毛があり、第1腹節と第7~9腹節の背面正中部に黒色の毛束がある。
ナワシログミの枝にくっついていた。
これで手持ちの図鑑で見ると、アサケンモンが色彩以外は特徴が非常に似ていた。

アサケンモンAcronicta pruinosa を含む Plataplecta亜属は、日本産はアサケンモン、シロハラケンモン、ハイイロケンモン、シロモンケンモンの4種。
このうち食樹が未知のシロモンケンモン以外はグミ科を食べるらしい。
亜属としてグミ科に固有っぽい。

なので寄主は Plataplecta亜属の1種だと思う。
あと分布が本州中部以北のハイイロケンモンは候補から外せるので、残り3種のうちどれか、となる。

この蛾の仲間は年2化なので今年はグミはちょっと気にして見よう。

ではまた

2018年4月14日土曜日

セスジヒトリの卵と孵化幼虫

4月3日、出勤のため玄関を出るといた蛾。
セスジヒトリ Spilarctia howqua 
近畿、四国、九州、中国、ベトナム、タイ、ミャンマーに分布するが、日本では1980年代に大阪市と高松市などの都市近郊で発見されたため、国外からの侵入種かもしれないと言われている。

セスジヒトリ Spilarctia howqua 
なんとなくフィルムケースに入れて一緒に出勤する。
で、シャーレに入れて一晩経つとこうなった。

セスジヒトリ Spilarctia howqua 卵
産みたてほやほや

6日後の4月10日朝
大顎らしきものが視認できるようになった。

同日昼、
頭部が着色しだした。
大顎をもむもむして余った卵黄を食べるような行動をしてる。

同日夕方
毛も着色した。

4月11日朝見ると、、
セスジヒトリ Spilarctia howqua 1齢幼虫
一斉に孵化が始まっていた。うひょーどーしよー
拡大
セスジヒトリ Spilarctia howqua 1齢幼虫
大きくなると二次刺毛だらけの立派な毛虫だけど、1齢幼虫のうちは一次刺毛だけのよう。
庭でちぎってきたクワとクヌギの若葉を入れておく。

一晩経ったらこのありさま。

大部分は庭に戻そうと思った。

ではまた